〜30年・50年住宅の実情と安心リフォームの考え方〜
「親から譲り受けたけど古い家、本当に住めるの?」
「中古住宅を購入したけど、修繕費はどのくらいかかるの?」
東京都心や近郊では、築30年〜50年を超える戸建てやマンションを「空き家」として活用しようとするケースが増えています。しかし、築年数が古い家には独特のリスクがあり、表面だけ直しても後から大きな出費になることも少なくありません。
この記事では、築30年・50年の家に多い劣化の特徴を整理し、予算別にできる対処法をわかりやすくまとめました。補助金や実例も交えながら、「どう直せば安心して住めるか」のヒントをお届けします。
目次
1. 築30年の空き家に多い劣化リスク
築30年は「外装や設備が寿命を迎える時期」です。
主なリスク
- 屋根や外壁の塗装が剥がれ、雨漏りの前兆
 - 水回り(キッチン・浴室・トイレ)の老朽化
 - 配管のサビや詰まり
 - 内装(壁紙・床)の劣化
 
実例
江東区の築32年木造住宅では、外壁塗装の劣化から雨水が侵入。放置していた結果、室内の壁下地が腐食し、修繕に200万円以上かかりました。本来なら外壁塗装の時点で100万円以下で済ませられたケースです。
2. 築50年の空き家に多い劣化リスク
築50年になると「構造部分そのものの耐久性」が課題になります。
主なリスク
- 耐震性が旧基準のまま(1981年以前の建物は特に要注意)
 - 柱や梁のシロアリ被害
 - 基礎のひび割れや沈下
 - 電気・ガス設備が旧式で安全性に不安
 - 断熱性能がほぼない
 
実例
台東区の築48年住宅では、耐震診断の結果、柱や接合部が現行基準を満たさず耐震補強が必須に。補強工事に400万円ほどかかりましたが、家族が安心して暮らせるようになりました。
3. 築古住宅の「見えないリスク」
水回りの配管
床下や壁の中にある配管は、劣化していても外からは見えません。築30年以上なら交換を検討しましょう。
シロアリ被害
被害が進むと床が抜ける危険も。定期的な調査と防蟻処理が必要です。
カビ・湿気
北側の部屋や押入れは要注意。放置すると健康被害にもつながります。
4. 予算別リフォームの考え方
築古住宅を直す際は「どのくらいの予算をかけるか」が重要です。
100万円以内
- 壁紙や床の張り替え
 - 水回りの一部修繕
 - 簡単な塗装補修 👉 入居前の「最低限の修繕」に向く規模
 
500万円前後
- 屋根や外壁の補修
 - 水回り一式交換(キッチン・浴室・トイレ)
 - 部分的な耐震補強 👉 実用的に住める状態に整える規模
 
1000万円以上
- 耐震補強工事
 - 間取り変更や断熱改修
 - 大規模な全面リフォーム 👉 長期的に安心して暮らす「第二の新築」イメージ
 
5. 補助金・助成金の活用
東京都や区市町村では、築古住宅の改修に補助金が出ることがあります。
- 耐震改修補助金:最大150万円(自治体による)
 - 省エネ改修補助金:断熱窓や高効率給湯器で数十万円
 - 空き家活用補助:空き家をリフォームして住む場合に助成
 
👉 台東区・墨田区・江東区などは「空き家活用助成金」制度があり、要件を満たせば利用できます。
6. 築古住宅リフォームの進め方
- 住宅の健康診断とし 5万〜10万円で建物の状態をプロが診断。
 - 優先順位を決める 命に関わる耐震 → 雨漏り防止 → 水回り → 内装、の順で考える。
 - 予算を確定し、複数社で見積もり比較 金額だけでなく「提案内容の現実性」も大事です。
 
7. 生活スタイル別の選び方
- 長く住む予定がある場合 耐震+断熱改修を優先し、全面リフォームがおすすめ。
 - 短期的な活用(賃貸や売却) 見た目を整える内装リフォームを中心に。
 - セカンドハウスや週末利用 最低限の修繕で費用を抑えるのもあり。
 
8. 実際の相談事例
事例1:築35年の戸建て(墨田区)
外壁と水回り交換に500万円投資。入居後すぐに快適生活が実現。
事例2:築52年の木造住宅(荒川区)
耐震補強と全面リフォームで1200万円。結果として新築同様になり、光熱費も削減。
9. 築古住宅のメリットもある
築年数が古い家は「土地の立地が良い」ことが多く、リフォームでよみがえらせれば資産価値を高められます。また、昔ながらの梁や建具を生かしたリフォームは、新築にはない温かみのある住まいになります。
まとめ
築30年の家は「外装・水回り・配管」が要チェック。
築50年の家は「耐震・構造・設備」が大きな課題です。
限られた予算の中で優先順位を決め、補助金も活用しながらリフォームを進めれば、安心して長く住める住まいによみがえらせることができます。
「古いからダメ」ではなく、「直し方を工夫すれば資産になる」。それが築古住宅リフォームの魅力です。